夏
一歩でもエアコンの効いた家から外に出れば、そこには灼熱の大地。太陽によって溜められたアスファルトの熱が容赦なくあなたに襲い掛かります。
吹き出す汗の量は徐々に増えていき、こめかみから汗が流れ、頬を伝って、ついにアゴまで達してぽたぽたとしずくとして落ちていくでしょう。気付けばワキや背中も汗でびっしょり・・・
「暑い!」と叫びたくなりますよね。
さらに汗でビショビショになった服を着続けるのは気持ちが悪い・・・。けど、もっと心配なことがあります。
「汗をたくさんかけばそれだけ汗臭さもキツくなっていくのではないだろうか?」
しかし実は、汗臭さは汗の量とは関係ないのです。
夏の汗は強烈にクサくなる!汗のニオイはどうやって発生する?
汗臭さは汗の量とは関係ないとはどういうことでしょうか。
実はニオッているのは汗ではありません。汗それ自体は無臭、つまりニオイの原因は別にあります。
ニオイの原因を知らないと、自分の体臭が強烈にニオウようになり、周囲の人たちに白い目で見られることになる可能性も否めません。
汗臭さの原因は雑菌!汗を放っておくと、どんどんニオイがキツくなる!
人間の身体は汗腺とよばれるところから汗を分泌します。汗腺から汗をだすことによって体温を調節したり、体の中にたまった老廃物を外に出したりといった重要な役割を持っているのです。
先ほども言ったように、かいたばかりの汗はほとんど無臭で、意外にも汗だくの人からはそれほど汗臭いニオイはしません。
ニオイが発生するのは汗をかいた“後”です。以下がその流れ。
- 汗をかく(無臭)
- 皮膚の表面にある雑菌が汗の中に含まれるたんぱく質などをエサに繁殖する
- 菌が繁殖すればするほどニオイがキツくなっていく
汗のほとんどは水分でできているのですが、その中には少量ですが、たんぱく質や脂質、塩分、アンモニアといった成分も含まれています。
そして、その汗に含まれる成分を皮膚の外で雑菌が待ち構えているのです。
出たばかりの汗は無臭だったのが、だいたい1時間くらい経過すると、その雑菌たちに分解され、あの独特なニオイを発生します。
さらに雑菌たちは繁殖を続け、ついには周囲の人にも分かるほどの強烈なニオイを充満させてしまうんですね。
高温多湿なところは雑菌の繁殖がさらに加速!
汗に含まれる成分を分解する雑菌たちは、ジメジメして暑いところが大好き。カビのような菌でも湿気が多いところを好みますよね。
同じように湿気も多く、気温も高いので高温多湿になりやすく、雑菌の繁殖が加速します。
夏場は服の風通しが悪いところ、特にワキやすそ、靴の中などは熱がこもりやすく、また汗もかきやすいのでニオイがキツくなりがち。そのままにしておくとどんどんニオイが増していきます。
良い汗と悪い汗で雑菌の繁殖力も変わる
汗には雑菌が繁殖しにくい良い汗と、繁殖を促進する悪い汗があります。あなたが普段どんな汗をかくかによって体臭の強さが変わってくるのです。
良い汗はかいた後に爽快感がある
良い汗は以下のような特徴があります。
- サラサラしている
- スルッと体の外にでる
- すぐ蒸発して、すぐ乾く
- ニオイがほとんどしない
よく運動をしたあとやサウナに入った後に、「良い汗かいた!」って言いますよね。実際に運動したあとなどにかく汗は良い汗なので、乾くとサラサラして爽快感があります。
悪い汗はベタベタ不快感が残る
逆に悪い汗は以下のような特徴があります。
- ベタベタしている
- ゆっくりドロッと体の外にでる
- なかなか蒸発してくれないので気持ち悪い
- しょっぱい
悪い汗はすぐに蒸発しないので、肌の表面に留まりつづけます。また、良い汗よりも塩分やたんぱく質、脂質を多く含んでいるので、それだけに菌が繁殖しやすくなるのです。
普段運動していない人や、エアコンの効いた部屋から出ない人は汗腺の機能が低下しがちになり、悪い汗をかきやすくなります。
また脂っこいものや糖分多めのものばかり食べるなど、バランスの悪い食生活も悪い汗の原因。汗腺を刺激してしまい、ニオイやすい汗を出すこともあるので注意しましょう。
夏の汗を抑えるには内側と外側から!双方向の対策が欠かせない!
夏はどんな人でも汗をかいてしまいます。こればかりは防ぎようがありません。
きちんと対策をしておかないとニオイはきつくなり、家族や友人、他人からの白い目に耐えなければならなくなるかもしれません。
夏の汗のニオイを抑えるために必要なのが2つ。
- すぐに効果を実感できる体の外側からの対策
- ゆっくりだが根本的な改善ができる体の内側からの対策
この2つを並行してやっていく必要があります。
即効果を実感!すぐにできる外側からの汗対策
「とにかく手っ取り早くニオイをどうにかしたい!」という方は、まず外側からの対策を行いましょう。
ニオイの原因そのものとなる汗と雑菌自体を取り除くので、すぐにニオイを抑えることができます。
汗をかいたらすぐに汗をふく!濡れタオルがおすすめ!
何度も言っているように、汗のニオイの原因は雑菌。汗をそのまま放っておくと、それだけ雑菌が繁殖してしまいます。1時間以内にはニオイが発生しだすでしょう。
そのため、汗をかいたらすぐに拭きとる習慣を身につけることが重要です。
汗を拭く時は湿ったタオルまたはボディシートで拭くとより高い効果が期待できます。
濡れタオルで汗を拭くと、汗と一緒に雑菌が好む皮脂や老廃物も一緒に拭きとれるからですね。後々発生するニオイを予防することもできるので一石二鳥です。
デオドラントスプレーは汗をかく前にふきかけておく
汗のニオイを抑えるといえばデオドラントスプレーが有名ですよね。夏場は常に持ち歩いているという方も多いのではないでしょうか。
しかし、よく勘違いされることがあります。汗をかいた後にデオドラントスプレーを振りかけていませんか?
デオドラントスプレーは雑菌の繁殖を防ぐ効果はありますが、すでに繁殖してしまった雑菌にはそれほど高い効果は期待できません。
雑菌が繁殖する前にふきかけるのが一番効果を実感できる使い方です。
そのため、シャワーや入浴後、もしくは濡れタオルで一度身体を拭いてから、デオドラントスプレーを使用すると良いでしょう。
体臭対策商品で一日中ニオイを気にしない
「汗をこまめに拭くのも、デオドラントも知ってるけど、なかなか小まめにケアするのは難しいよ」
わかります。さすがに四六時中汗のケアを好きなときにできる方はいませんよね。
例えば朝の満員電車なんかも汗だくの状態になりやすいですが、混んでいるせいでなかなか汗をふくことは難しいと思います。あまりに汗をこまめにケアするのも、逆に人目が気になりますしね。
そこでオススメなのが、制汗作用のある専用対策グッズを使用すること。
そもそも汗をかく量自体を抑えることは、雑菌を繁殖させる原因そのものを取り除くことになります。結果としてニオイにくくなりますよね。
制汗作用のある専用のグッズには汗を抑える有効成分が配合されているので、夏のニオイ対策にはピッタリ。小まめに汗のケアをするのが面倒だったり、汗っかきだという人はぜひ使用してみてください。
徐々に汗臭さの原因を改善!内側からの汗のニオイ対策!
外側からの対策は確かに即効性がありますが、根本的にニオイを抑える方法ではありません。
内側から質の良い汗をかくような体づくりをすることで、徐々に汗をかいてもニオわない体をつくっていくことができます。
良い汗をかいて汗腺を回復させる
夏場、エアコンの効いた部屋ばかりにいると、汗腺の機能が低下していきます。すると、いざ汗をかいたときに、衰えた汗腺ではうまく“良い汗”をかくことが出来なくなるのです。
そしてあのベタベタ不快感のある“悪い汗”があなたの体を包むようになります。悪い汗は中々蒸発してくれないので雑菌がどんどん繁殖して、ニオイも慢性的にきつくなることでしょう。
汗腺の機能を回復させると、汗をかいても雑菌が繁殖しにくい良い汗なので、ニオイも最小限に抑えることができます。
有酸素運動で体の循環からニオイ対策!
運動不足な人は、日常的に運動をしている人よりも汗臭くなります。
その理由は運動不足によって体温が上がらない、つまり代謝がわるくなるからです。代謝が悪くなると汗をかく機会も減り、結果的に汗腺が衰えていきます。
運動、特にウォーキングやジョギングのような有酸素運動を生活に取り入れると、汗をサラサラした良い汗に変えることができるのでおすすめです。
入浴で身体の内側から汗腺を回復させる
お風呂上りにサラサラした汗をかきますよね。
それは身体の内側から温まると、今まで閉じていた汗腺が開いて“良い汗”をかくことができるようになるからです。
シャワーだけだと身体の表面しか温まらず、内側から汗腺を開くことはできません。
じっくりとお風呂につかることで閉じた汗腺を開き、衰えた汗腺を鍛えましょう。
食事の改善はニオイの改善!
雑菌は汗の中に含まれる成分をエサにして繁殖します。実は私たちが口に入れるものによってその汗の中に含まれる成分に影響がでるのです。
つまり、食べるものによっては雑菌たちの大好物となる成分を増やしてしまうことになり、強烈なニオイの原因になってしまいます。
また汗それ自体をクサくする食べものもあるので注意が必要です。
ここではニオイをきつくする成分とニオイを抑える成分を紹介し、代表的な食品も一緒に紹介します。
ニオイをきつくする成分
- 動物性たんぱく質・・・牛肉、豚肉、鶏肉など
体臭悪化の原因となる成分として代表的なのがこの動物性たんぱく質。腸内で消化しきれず、腐ってしまったものが汗や便のニオイをキツくすると言われています。
アンモニアが作り出されるので、この肉を摂りすぎている人の体臭はツンと鼻を突くようなニオイになりがちです
- 乳製品・・・牛乳、チーズ、バターなど
動物性脂肪が多い乳製品もニオイをキツくします。動物性たんぱく質同様、腸内で腐りやすく、さらに乳製品を摂りすぎている人は、牛乳が腐ったような体臭になりやすいのです。
- 辛い食べもの・・・キムチ、カレーなど
交感神経が刺激されることで体温が上昇し必要以上に汗をかく辛い食品。とめどなく流れる汗に雑菌が結びつきニオイを発生することがあります。
- ニオイのきついもの・・・ニンニク、ネギなど
ニオイのきつい食べ物にはそれだけニオイを伴う成分が含まれています。そのニオイ成分が血液中に取り込まれことで身体全体を循環し、汗と一緒に体臭となってでてきます。
- アルコール
消化しきれなかったアルコールは汗としても分泌されます。アルコールは、代謝されるときに強い刺激臭を発してニオイの素となるのです。また汗腺を強く刺激してワキガを悪化させることもあります。
ニオイを抑える成分
- ビタミンB群・・・ウナギ、レバー、納豆、ナッツ類など
雑菌のエサとなる皮脂の分泌のバランスを整える効果があり、皮膚の健康を保つ効果もあるので、肌表面にある雑菌の繁殖を抑えることができます。
- ビタミンC・・・レモン、パプリカ、パセリ、ゴーヤなど
ビタミンCには抗酸化作用があり、汗と一緒に分泌された皮脂が酸化するのを防いでくれます。動物性たんぱく質などのニオイを抑えてくれるので、お肉を食べるときは一緒にビタミンCを摂るといいでしょう。
- ビタミンE・・・イクラ、タラコ、明太子、すじこなど
- 食物繊維・・・青汁、インゲン豆、おから、よもぎなど
身体の外側と内側から体臭を改善していくこと
ニオイの原因は汗の中に含まれる成分をエサにする肌表面の雑菌です。
そのことが分かっていれば、体臭の対策は今日からでも始めることができます。
特に夏場は汗の量がぐっと増えますよね。汗に対してアプローチしていくことが体臭対策最初の一歩です。
夏は特に気になる汗のニオイ、身体の外側と内側から日々の生活を見直すことでどんどん無くしていきましょう。
とにかく汗のにおいを抑えたい方は、まずは外側からささっと汗のにおいを抑えてみてくださいね。